笛に寄せて - Written for the Flute (詩歌) マイ・バン・ファン 森井香衣訳 - Kae Morii
02/09/2023
マイ・バン・ファン (ベトナム)
森井香衣訳 - Kae Morii
-森井香衣(Kae Morii)
笛に寄せて
Written for the Flute
僕は一本の笛の奈落のような穴へ息を吹く ドレミファソラシ…と楽園への七つの道を見つけるために 各音階はその翼をはためかせ 煌めいている不思議な七色の光に滑るように飛んでゆく
その影たちが笛の形をつくり すぐに僕はそれぞれの影に唇をあてて吹く
低音域を去りながら、飛びたち、それから無数の音律を夜へ放つ。僕は夜に響く労働者の足音を聞く 一オクターブ高く
音を閉ざした一つの世界が夜にぶら下がっている 優しい波は影に 朝目覚めて光をみるように知らせる
僕のなかの暗い隅っこは、母乳を飲むように音を吸い込みながら、やがて僕の半分開いた口から光が流れる
森井香衣(Kae Morii)
森井香衣:日本詩人クラブ会員、世界芸術文化アカデミー終身会員、IWA終身会員。 彼女はいくつかの文学賞と詩コンテストの受賞者を受賞しました。 彼女は世界中に紹介されています。
日本の美しい風景